環境マネジメントシステム(EMS)規格ISO14000シリーズは、草案段階から世界中の企業が登録に興味を示すなど、大きな影響力を見せていました。1996年9月に正式な国際規格となったISO14001は幅広く適用可能な規格であり、あらゆる産業に大きな影響を与える規格であると認識されています。
ISO14000は、スイスに本拠を置く国際標準化機構(ISO)がISO専門委員会207(TC207)のガイダンスにより、世界中の様々な企業の環境マネジメント要求事項に対応できるようとりまとめた包括的な規格シリーズです。ISO9000シリーズが国際的かつ包括的な品質マネジメントシステム規格であるのと同様に、ISO14000シリーズも環境マネジメントプロセスの指針となるような一般的な国際規格として作られました。各企業はISO14001規格に登録することになります。
ISO9000シリーズ同様、ISO14000シリーズもいくつかの支持文書を含んでおり、これらの文書には企業が適切な環境マネジメントシステムを構築するために必要なステップが明確に示されています。ISO14000は、企業のマネジメント活動が設定された目標に合致し、その適合が第三者によって確認される形で設計されていたイギリスの規格であるBS 7750から派生したと考えられています。またISO14000規格シリーズは、環境管理・監査スキーム(EMAS)からも影響を受けています。
ISO14000シリーズは、国際標準化機構(ISO)によって策定された包括的な環境規格です。この規格はあらゆる企業の最高経営層に、環境影響を管理するための枠組みを提供することを目的とし、以下の6項目をはじめとする幅広い環境分野を含んでいます。
欧米や日本をはじめとする各国で、各種環境団体は企業に対し環境に責任をもつよう迫っています。こうした環境団体からの圧力や、政府の環境に対する取り組みの強化により、企業も環境マネジメントの重要性に対する認識を高めています。
EMS導入の利点としては、次の事柄が挙げられます。
ISO14001規格への登録は、ISO9001とほぼ同様のプロセスと考えられます。組織/企業はまず、ISO14001に適合する形式のEMSを実施し、必要な文書を作成します(EMSの構築/運用)。その後、第三者認証機関である審査登録会社と契約を結び、組織/企業のEMSが規格の要求事項に適合し、環境目的や目標が業務のすべてのレベルで実行されているかどうかの検証を依頼します。これが外部監査プロセスです。
組織/企業のISO14001登録への過程では、内部監査及び外部監査を繰り返す場合もあります。EMSが確立され十分な期間(通常3~6ヶ月程度)運用されれば、審査登録の時期がきたと言えます。審査登録は、以下のような基本的段階を踏みます。
すべての審査登録会社は、規格への登録を求める組織/企業が自ら申請書を記入することを求めています。申請が完了すると、審査登録会社は当該組織/企業の文書を検討し、システムの現状を判断するため予備審査の実施を提案します。
審査登録機関が、組織/企業のEMSマニュアルまたは環境方針がISO14001規格の要求事項のすべてを反映していると判断した場合、実地による登録審査を行います。当該組織/企業EMSの適合性が確認されれば、認証取得となります。不適合が発見され、条件つきで登録の推薦を受けた場合、当該組織/企業は発見された不適合を是正するまでは登録できません。登録の推薦を受けることができなかった場合、通常は企業のEMSの実施が不十分であるか、当該EMSが規格の要求事項を満たしていないことを意味します。
認証を取得した後は登録証が発行され、審査登録機関の発行する登録者名簿にも組織/企業名が記載されます。一方、登録後も審査登録機関は定期的なサーベイランスとして組織/企業を訪れ、EMSが引き続きISO14001規格に適合しているかどうかを確認します。審査機関の多くは、少なくとも年1回はサーベイランス訪問を行っています。
登録証の標準的な有効期限は3年間で、期限失効時には更新のため、すべての要求事項を網羅する審査を受審します。審査登録機関の中には、サーベイランス審査において継続的に合格することを条件に、有効期限を定めない登録証を発行している場合もあります。
企業が認証取得を求める理由は様々です。顧客から要求されている場合もあれば、認証取得による競争力の向上を目指したり、訴訟に巻き込まれる可能性を減らしたり、さらには規制当局から義務づけられる監査の頻度の削減を目指している場合もあります。いずれにしても、汚染を防止し、廃棄物を削減することにより、地域社会との関係向上を図るということが最大の理由と考えられます。
ISO14001規格への登録を果たしたとしても、組織/企業は認証の取得自体がEMSの長い道程の最終目標ではないことは銘記するべきです。認証取得後も、企業は規格の要求事項への適合を継続的に証明しない限り、登録は取り消されることになるからです。
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