2022年1月26日開催イベント「改正公益通報者保護法への対応-2021年8月最新指針及びWCMS登録基準準拠」でいただいたご質問への回答です。
免責事項:ご質問に対する回答は当社(ペリージョンソン ホールディング 株式会社)の見解です。回答にあたっては正確を期するよう努めておりますが、本回答に起因する損害等につきましては一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
全32件のご質問をカテゴリ別に分けております。各カテゴリをクリックすると個別の質問&回答に進みます。
カテゴリ | ソリューションはこちら |
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全般について(6件) | - |
通報対応について(9件) | |
従事者について(7件) | |
規定について(3件) | - |
ハラスメントについて(2件) | |
講演内容について(2件) | |
その他(3件) |
ソリューション: -
公益通報が営業秘密の開示等を伴う場合、公益通報者保護と営業秘密保護の利益が相反する状況が考えられます。公益通報に伴う営業秘密の取得や開示等が不正競争防止法上の不正競争に該当するか否かが重要であり、通報者が営業秘密へのアクセス権限を有しているか否かによっても見解が変わってきます。法的整合性や整理は個々の詳細な状況や事情によるため、一概に申し上げることはできませんので、詳細につきましては弁護士等、専門家にご確認をお願いします。
消費者庁Webサイトの改正法概要資料等のご確認をお願いします。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/#012
「ヘルプライン」「ホットライン」のすべての利用者に対して、通報・相談制度の目的・意義を丁寧に説明し、理解させることが重要です。また、虚偽の通報、誹謗中傷、その他不正を目的とする通報は、組織の規定により懲戒処分その他適切な措置を講じることも、併せて研修等により周知してください。
正しく理解されているか否かを判断するための方策としては、例えば研修後における理解度テスト等の実施が考えられます。
また、研修内容においても、例えば適切な通報、不適切な通報を類型化し利用者に解説する等、具体例(実例だけでなく想定事例も含める)を示すことが有効であると考えます。
公益通報対応業務従事者(過去に従事者であった者を含む)が、通報業務に関して知り得た公益通報者を特定させる情報を、正当な理由なく漏らした場合には刑事罰の対象となります(改正法第12条、第21条)。告訴権者による捜査機関への刑事告訴の方法につきましては、担当弁護士にご確認ください。
なお、従事者が刑事罰付きの守秘義務を負うことで、委縮したり就任を躊躇したりするという事態を避けるため、企業として具体的な制度設計を行う必要があります。
法改正により、事業者の措置義務をはじめ違反に対する行政指導等、刑事罰(罰金)、行政罰(過料)が定められた実務にも大きな影響を与えると考えます。
まず、改正公益通報者保護法および内部公益通報対応体制について利用者(役職員、退職者)に周知するとともに、専門家による社内研修やハンドブック等による啓発活動を行うことが望ましいでしょう。
また、外国人労働者も保護の対象であることから、外国人労働者からの公益通報に適切に対応できる仕組みを整備する必要があります。さらに、従事者への罰則適用リスクから守るために、第三者(弁護士等)を公益通報対応業務従事者として指定することも検討する必要があります。
改正法第3条第3号の通報においては、真実相当性の要件が求められます。つまり、保護対象の通報と認められるためには、その“致命的欠陥”について、それを裏付ける内部資料の存在等、信じるに足りる相当の根拠が必要になります。本要件の具備次第で結論が異なり得ます。
ソリューション:実行性、有効性のチェック
指針の解説等においても、顧問弁護士に外部窓口を委託することを一律に避けるべきとまでは記されていませんが、通報を受けた顧問弁護士から経営層へ、通報情報や通報者が漏れてしまう点や相談・通報内容によっては利益相反となることが想定されるため、例えば、弁護士から誓約書を取り付ける、情報遮断措置が徹底されている弁護士事務所に依頼する等、外部窓口の中立性・公正性および利益相反関係の排除を確保する仕組みを整備し、運用する必要があります。ちなみに、当社の知見では顧問弁護士以外の弁護士等への外部委託が一般的であると考えます。
被通報者(およびすべての利用者)に対する働きかけとして、以下が考えられます。
①被通報者には、申告事項への反論・弁明の機会を与えること
②被通報者による、通報者に対する報復行為および通報者探索行為を禁止していること
③被通報者においても、適切な情報管理、秘密保持およびプライバシーへの配慮を行うこと
④被通報者は、内部通報を受けて行った調査の結果(処分含む)に不服申し立てができること
など。
事実確認は、通報者、被通報者および関係者からヒアリング等により証拠を収集しますが、匿名通報で連絡先も不明な場合には、調査の限界として事実が確定できないケースもあります。匿名での通報は、事実確認のための調査が十分にできない可能性や調査経過および結果を通知ができない等の不利益な面もあることを、教育訓練を通じて利用者に周知するとともに、匿名通報受付と実効性の確保として、通報者と通報窓口担当者が双方向で情報伝達を行うことができる仕組みを整備する必要があります。
また、事実確定に十分な証拠があっても被通報者が否認することで事実が確定できない場合には、弁護士等の専門家に相談することをお薦めします。
指針本文に記されている事項ですから、当措置に向けた準備をお薦めいたします。
その措置が取られていないことのみをもって即指導に至るとは考えにくいですが、助言や指導等がないとは言い切れないと考えます。
今回の法改正では、従業員が300名を超える企業に対して内部通報制度を整備することを義務付けたことから、本来であれば従業員が300名を超える事業者ごとに通報窓口を設置することが望ましいと言えるでしょう。しかし、合理的な方法として「企業グループ共通の窓口」を設置し運用する旨を子会社や関連会社自身の内部規程等に定めておくとともに、子会社等に調査や是正措置等、通報対応業務についての責任者を定めることで、企業グループ共通の窓口として運用することができると考えます。
実務上、親会社の責任者の目がどこまで子会社に行き届くかというところがポイントであると考えます。
指針の解説における「子会社や関連会社自身において明確に定めなければならない」とは、各社の事情や状況に熟知した上で内部通報制度上の責任ある意思決定を行うことができる、“現地責任者”的な責任者のことであると当社では解釈しております。
保護対象となる通報内容は、犯罪行為や刑罰に相当する法令違反行為(過料含む)の事実等に適用しますが、通報の段階で「今回の通報は公益通報である」ことを宣言(表明)する必要はありません。
また、パワハラやセクハラの通報ではあるが、暴行・脅迫や強制わいせつなど犯罪行為ではない(公益通報に該当しない)案件の場合でも、組織で定めた内部通報規程等に従って、通報者に対する不利益の禁止や秘密保持等については、公益通報と同様に対応しなければならないと考えます。
1.匿名の通報は、経営リスクに係る情報を把握する機会を拡充する、という点では有効です。その際、匿名の通報であっても、調査への協力や調査結果の通知という観点で、通報者と通報窓口担当者が双方向で情報伝達を行い得る仕組みを導入することが望まれます。匿名通報であっても、通報内容から公益通報者が特定できる場合や顕名通報もあり得る場合には、従事者の選任(通知)が必要になると考えます。
2.外部窓口で受付けた後、外部業者から通報レポートを受け取り、調査や是正対応は内部の者が行うということですので、内部公益通報受付窓口に該当すると考えます。
外部窓口において、①匿名通報の不利益な点として、事実確認のための調査が十分にできない可能性や調査経過および結果を通知できない可能性についての確実な伝達、②通報者の匿名性の確保の徹底、③情報管理の徹底等が確実に行える運用であれば、匿名受付対応として有効な措置の1つである、と考えます。
ソリューション:従事者の力量担保
今回の改正で、公益通報対応業務従事者(過去の従事者を含む)に対しては、通報業務で知り得た情報を漏えいしてはならないことを法令上の厳格な守秘義務としています。
よって、従事者の職務分掌および順守義務事項について、従事者への辞令や任命書等により通知したり、職務分掌規程や責任権限規程等の内部規程等において明確にしたりすべきと思います。また、機密保持に係る誓約書は、通報業務で知り得た情報の目的外使用や漏えいをしないこと、および公益通報者保護法第12条に基づく守秘義務を負い、これに違反した場合には刑事罰や社内処分に科せられる可能性を理解していることについて誓約し、署名していただくことが望まれます。
通報者の上司については、従事者として定めなければならない者の指針上の要件には当てはまらない場合が一般的と考えます。よって、そのような場合、従事者であることを認識させるための教育・周知は不要です。
しかし、指針の解説P15 ③最後部の記載等を踏まえ、範囲外共有等防止についての教育・周知は十分に行う必要があります。
組織や対応状況の詳細を指針の解説に照らしてから判断する必要がありますが、一般論としては、人事部、法務部、コンプライアンス部等の内部通報窓口および法律事務所等の外部窓口、ならびに調査や是正措置を行う部門の担当者、実務責任者等が想定されます。
改正法では、公益通報対応業務従事者または公益通報対応業務従事者であった者に対して守秘義務を課したうえで、これに違反した者への刑事罰を定めています。よって、相談のみについての担当者にこの罰則は適用されることはないと思います。
ただし、法律上の解釈はそうであっても、相談業務担当者も通報従事者同様の守秘義務を課すべきであると考えます。また、「通報者保護」の観点からすれば、「相談者」に対する保護も同様にすべきでしょう。
指針の解説P5~6の記載を踏まえ、兼任であっても要件に合致する場合は、従事者として定める必要があります。
なお、主たる職務以外の担当者については、「必要が生じた都度、従事者として定める」と記載されていますので、常時従事者指定ではなく、都度指定であっても問題はないと考えます。
質問16 の回答をご参考にしてください。
担当者が安心して業務を続けることに関連して、制度の秘密保持体制の構築が重要と思われます。
例えば、担当者が守秘義務や情報管理を徹底しても、調査の段階で通報者が被通報者に特定されるケースや担当者の部署や氏名を公開している場合には、担当者の被通報者への面談等により内部通報であることが推測されてしまうケースが想定されます。
対応策としては、
①通報者の特定を100%回避できるものでないが、担当者は通報者が特定されない調査方法(ダミー調査、全社アンケート調査、計画的な業務監査など)で慎重に調査を進めることを通報者に丁寧に説明し理解をえること。
②通報者に調査をどの範囲で進めるかについて事前協議し同意を得ること。
③万一、通報者が特定されてしまった場合には、会社は通報者に不利益なことが起きないよう全力で守ることを説明すること。
④以上により通報者から同意を得られた場合には、その同意はメールや書面など客観的に形に残る形で取得しておくこと。
ソリューション: -
社内ルールや仕組みを整備することは必須ですが、どこまで文書化するかについては検討が必要です。内部通報制度が組織に与える重要性や、利用するものが広範囲(窓口担当者、役員・従業員等)であることから、規程やハンドブックとして文書化すべきであると考えます。もちろん、整備だけではなく、教育訓練を通じて実効性のある制度としなければ意味がありません。
新たな規程例が公表されています。消費者庁Webサイトのご確認をお願いします。 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/pr/
公益通報者保護法に定義される「通報者」は、内部通報規程等の利用対象者に含む必要があると思いますが、法の定義を超えて利用対象者の範囲を定めることは貴法人の任意と考えます。
ただし、貴法人の内部通報規程等において、通報窓口の利用対象者に「取引先の労働者」が含まれていると仮定した場合には、当該規程に定められた相談・通報対象内容、相談通報の方法、情報管理の徹底および秘密保持、調査結果の通知等の運用手順に基づき運用しなければなりません。
ソリューション:パワハラ防止対策必須
ハラスメントで冤罪が起きる要因は、職場環境が大きく影響しています。社内(上司と部下含む)の有効なコミュニケーションが図れる環境整備と、全従業員に対するコンプライアンス(ハラスメント)教育を、定期的かつ継続的に実施する必要があります。
ハラメントの判断基準としては、心理的側面、状況的側面、発生頻度、違法性の観点から慎重に調査し、冤罪を許さない仕組みの強化が必要です。
1.通報制度の利用者に対して、以下の点を周知する必要があります
①悪意がある通報については、内部通報制度に関わる利用者の心得として、虚偽の通報、誹謗中傷、その他不正を目的とする通報は、組織の規定により懲戒処分その他適切な措置を講じること
②思い込みや誤解による通報に対しては、法令違反等の行為が発生していると信じるに足りる相当の証拠および理由を明らかにした上で通報すること
2.一方的な聴取をして判断している弁護士に対して
当該弁護士に対しては、内部通報における調査方法および事実認定の実施手順(基本動作)について再教育する必要があります
3.その他、ハラスメント冤罪については質問26の回答を参考にしてください
ソリューション:制度の全社浸透
調査についての連絡が通報した日から20日以内にない場合等は、外部公益通報における解雇無効の要件の1つ(改正法第3条第3号ホ)であることが根拠になります。
質問8や質問27の回答をご参考にしてください。
なお、禁止の徹底を図る方策として、例えば、周知における懲戒処分等に言及した牽制、調査時に被調査者による誓約書の提出を求める、等の対応が考えられます。
ソリューション:抜打ちチェック
民間事業者向けガイドラインについては、指針の解説への統合により、改訂はないものと理解しております。
ご指摘の通り、法改正前の民間事業者向けガイドラインについては、今指針の解説に統合されたものと理解しております。
見直しのための休止について公表されています。消費者庁Webサイトのご確認をお願いします。 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/research/review_meeting_002/