内部統制の本番年度を目前に控え、これまでに構築してきた内部統制の有効性を実際に評価する段階を迎えている会社も多いようです。
内部統制の有効性は、「整備状況」と「運用状況」の2つの側面から評価することになりますが、初年度は、特に「整備状況」の有効性をしっかりと評価することが重要です。なぜなら、いくらルールや手順どおり確実に内部統制を運用していても、そのルールや手順がリスクを十分に低減できるように整備(デザイン)されていなければ、内部統制の目的を果たすことはできないからです。
したがって、ウォークスルー等の自己点検で「整備状況」の有効性を評価する際には、次の視点で評価していくことが必要となります。
(1) 不正や誤謬を発見する上で、担当者の力量・能力は十分なものであるかどうか。
単純な突合や照合による確認作業であれば、特別な力量・能力は要求されないかもしれませんが、適切性や妥当性を確認する作業には、知識や経験等の力量・能力が求められる場合があります。したがって、この場合は、質問等によって担当者の力量・能力を評価する必要があります。
(2) 適切な職務の分掌が行われ、内部牽制が十分に機能しているかどうか。
いくら確認や承認の手続きを設定しても、それらが同一人物により処理されていたのでは、内部統制は十分に機能しません。そこで、2人以上によるチェック(フォーアイズ・チェック)により、不正や誤謬をかなり低減することができます。
(3) 発見された不正や誤謬に対する対応手順が明確になっているかどうか。
不正や誤謬が発見された場合、それらを適切に処理するところまでが内部統制です。関係者に対する質問等により、これらの手順を十分に確認することが必要です。
担当者の皆様は、以上の点を踏まえて、効果的な内部統制が整備(デザイン)されているかどうかを評価してみてください。