HOME > 内部統制/IFRSコンサルティング > 内部統制コラム > コラム25:「リスクが絶対ない」はありえない

【コラム25】「リスクが絶対ない」はありえない

金融商品取引法内部統制のシステム構築で欠かせないのが「リスクの認識」でしょう。 とはいっても、プロセスオーナーや現場レベルでは、実施基準に示されるような「組織目標の達成を阻害する要因」ひいては「会計処理の誤謬・不正行為」となると、表現だけの印象で「そんなリスクは無い!」と、態度を硬化させてしまいがちです。結果的に、評価対象プロセスに財務報告の信頼性に係るリスクが潜在化してしまいかねません。

これはおそらく性善説の表れで、日本人の良さのひとつなのかも知れませんが、昨今の事件や不祥事では「まさかあの会社が…」と、信頼を裏切ることになっているのも事実です。たしかに、欧米では主流の性悪説にすべて切り替えるのも違和感があるでしょうし、「部下を信用していないようで嫌だ」という声も実際にありました。

ここで再確認すべき事は、「リスク=発生の確率×その結果の影響度」であり、リスク自体は絶対にゼロにはならないという考え方です。つまり、昔の漫才師が言っていた「赤信号みんなで渡れば怖くない」というのは、単に怖くないだけであって、何人で渡ろうが車に轢かれて怪我をする「リスク」がゼロになるわけではありませんし、日本人が持ち続ける“絶対安全神話”もただの希望的観測でしかない、ということなのです。
恐い例では飛行機も確率的には250万回に1回は墜ちるリスクがあるわけですが、そうならないためにリスクをマネジメントしているのだと考えるとわかり易いでしょう。

いずれにしても、性善説、性悪説そして性弱説のどれが良いかということでもありませんし、とりわけ金融商品取引法内部統制で重要視される、財務報告の信頼性に係る「負のリスク」のネガティブなイメージに過度に捉われることなく、「絶対ないとは言えない」という軽い意識で始めるのが成功のカギかもしれません。

[ < 前へ ]    [ コラム一覧へ ]    [ 次へ > ]