経営とITがもはや切り離すことのできない関係にあることは、いまさら言うまでもありませんが、ITの領域で経験の浅い経営者にとっては、ITマネジメントは依然として厄介なもののようです。今後も、技術や外部環境の変化、セキュリティの問題、そして競争優位性の確保の観点から、ITマネジメントは重要性が高まっていくでしょう。
企業会計審議会による、「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」でも、内部統制の基本的枠要素としてIT(情報技術)への対応が定義されています。経営者自らIT戦略を推し進める企業も数多いでしょうが、経営者とITの距離が課題として再認識されている企業も少なくないでしょう。
経営者とITの距離が発生している理由はさまざまでしょうが、ひとつには、経営者とITを統括する情報システム部門とのコミュニケーションの不足が考えられます。
この課題に対して、経営者はITをどう企業戦略と結び付けて実行していきたいかについて、情報システム部門に積極的に伝える必要があるでしょう。その一方で、情報システム部門は、ITの利用、ITの統制による経営リスクの低減策及び企業としての競争優位性を、積極的に経営者に報告、提案していく必要があります。
またこれらを統括するCIO(Chief Information Officer)と呼ばれる最高情報責任者の設置と役割の明確化も有効な手段のひとつでしょう。またそのためには、CIOや情報システム部門のスタッフには、経営戦略を支えるIT戦略を企画・立案する能力とスキルが求められるでしょうし、企業経営をプロジェクトととらえ、それを推進するプロジェクトマネジメント能力も求められるでしょう。つまり、組織としてのITマネジメントが問われていることになります。
経営者とITを統括する情報システム部門とのコミュニケーションの不足という一例をとりあげてみましたが、自社のITマネジメントのあり方について見つめなおす機会として、内部統制の強化に取り組まれてはいかがでしょうか。