「自己点検は誰が行うのがよいでしょうか?プロセス・オーナーは、誰が適任ですか?」
このような質問を受けたときこのように答えています。
「自己点検は、該当又は他部署の管理責任者が行うべきでしょう。また該当部署の管理責任者の自己点検は、他部署の管理責任者又は、その上長が行うべきでしょう。」
「プロセス・オーナーは、該当プロセスの管理責任者以上の方が適任です。」
「組織内すべての者によって遂行される内部統制、全員参加の内部統制」であるからと、意識を高めるために、また、管理職の負担を少なくするために、プロセス・オーナーを該当部署の一般職員にし、自己点検も該当部署の一般職員が実施すると、うまくいきません。
なぜなら、役割を与えられても公式な権限と責任がないからです。したがって、強制力がないので周りの協力にも限界がでてきます。また、日常的モニタリングが十分実施できません。日常的モニタリングは、業務に組み込まれた作業を実施することで、継続的に内部統制の有効性を検討・評価するわけですが、該当部署を統括し、重要なコントロールを実際行っているのは、該当部署の一般職員ではなく、管理責任者であり、上長に対して一般職員が業務の点検をする、ということになります。正式に会社で決めた日時であれば、一般職員は、自己点検実施はできるでしょうが、日常的モニタリングは、厳しいことになります。
また、プロセス・オーナーは、業務プロセスの所有者であり、内部統制の目的を達成するようプロセスを適切に、設計・構築・運用・維持する責任を担っています。標準業務プロセスに、有効な内部統制を組み込む責任があるわけです。また、事前に、内部統制の有効性を確認するのもプロセス・オーナーです。業務に対する深い理解と、管理に偏重しない客観性、その責任を全うするための公式な権限が必要となるわけです。したがって、プロセス・オーナーは、担当部署の管理責任者以上の役職の方が、適任ということになります。