「私は、何をしなければならいのか良く理解できない」
「私の立場では、そこまでできない」
金融商品取引法内部統制のコンサルティングで訪問した当初、このような反応がよくありました。内部統制構築に関しては「かやの外」的な立場にある監査役様の立場には微妙な面があったと思われます。
上記の質問の際に私はかならず「重要なお立場ですよ」「内部統制の要です」と回答してまいりました。しかし、経営層も含め、内部統制構築のスタッフにも、この認識が低いところがあるのではないでしょうか。
内部統制を企業に対して法的に要求してきたのは「会社法」ですが、この法律の根幹の一つが「監査役機能」の強化であったと思います。しかし、現実における各企業の「監査役」の機能や立場は、慣行的に、決してその要求を満たすに足りる状況ではないのが事実ではないかと思います。
「会社法」においても「金融商品取引法」においても、この法律がなぜ施行されなければならなかったのか。その背景は明確で、粉飾決算も含む企業の不祥事であり、また、その不祥事における「監査役」の歯止めとしてのあるべき役割です。
本来「監査役」の立場とは、経営層をも含む企業の監視役であり、その本来の機能を改めて確認したのが上記の法律の骨子ではないでしょうか。
このことをないがしろに内部統制システムを構築しても、それでは単に「絵に書いた餅」です。これは、「監査役」のことだけではなく、すべてのシステムに対して言えることではないでしょうか。
上記の法律に対して、各経営者は受け身で「内部統制」を考えるのか。あるいは、この法律を機会に、能動的に、企業価値を高めるために「内部統制」を考えるのか。対応の真価は、数年後に現れて来るのだろうと思います。現在までの慣行に対し毅然と挑戦できるのか。監査役様の今後の在り方に注目して参りたいと思います。