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第三回 サステナビリティ推進に有効な体制の構築

みなさん、こんにちは。

第3回は、「サステナビリティ推進に有効な体制の構築」をテーマとして進めてまいります。
サステナビリティ推進に限らずプロジェクトを成功裏に終えるためにも、体制の整備は重要なポイントになります。

人的リソースが充実している大企業は別として、中小企業ではサステナビリティ推進のための専門組織や専任要員を確保することはかなり難しいですね。 そこで、ペリージョンソン コンサルティングでは、部門横断型の「委員会組織」による運用体制をお勧めしています。

今回は、「サステナビリティ委員会」という組織のもと、下部組織である各部会が実行組織として運用するケースをイメージしてお話ししたいと思います。

サステナビリティ委員会は、サステナビリティに関する戦略立案、運用支援、モニタリング・評価、報告、改善を行い、各マテリアリティ(企業が取り組む重要課題)の取り組み状況や社会情勢を鑑みながら、サステナビリティ戦略の見直しを行います。サステナビリティに関する取り組みの実行組織は各マテリアリティの部会が行い、事業活動にサステナビリティ戦略を落とし込みながら、具体的活動のポートフォリオの見直しを行います。

サステナビリティ委員会の位置づけは、サステナビリティ推進活動に取り組む専任組織として、特定の部署や事業単位で取り組んできた活動を企業全体に展開し、その取り組みをさらに推進させるための中枢組織となります。当該委員会の目的は、持続可能な社会を実現するためにサステナビリティ経営を推進し、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業成長」の両立を実現することにあります。

サステナビリティ委員会の構成メンバーとしては、委員長に代表取締役または担当役員、委員会メンバーには、各部門の責任者(取締役、執行役員、部門長など)を想定しています。サステナビリティ委員会の主な活動は、サステナビリティ基本方針の策定、KPI(重要業績評価指数)および活動計画の立案、サステナビリティ推進支援、パフォーマンス評価および評価結果に基づく継続的改善について検討し、その結果を取締役会に報告することになります。
取締役会は、中長期的な企業価値向上の観点から、自社が取り組むべきサステナビリティについて基本的な方針を決定するとともに、サステナビリティ委員会の監督機関として、サステナビリティの取り組みに対する適切性、有効性および妥当性について検証し、企業の価値向上に努める役割を担います。 ここで問題になるのが、サステナビリティ委員会によって策定された方針および活動計画に基づいて、どこの組織が具体的に活動を推進していくのかということになりますね。

その役割を担うのが、サステナビリティ委員会の下部組織である「部会」です。
この部会の構成メンバーは、サステナビリティ委員会メンバー(取締役および部門長など)が部会長となり、部会長から任命された数名の部門横断的な社員(兼務)によって構成されます。

各部会では、各テーマに応じて現場から吸い上げた実務レベルの課題の明確化と対策の立案により、サステナブルな活動を全社的に進めていきます。
企業のマテリアリティによって違いはありますが、労働・人権部会、CSR調達部会、情報セキュリティ部会、環境部会など、取り組むべき課題に応じた部会を設置していくこと重要と考えます。

各部会の具体的な活動として、例えば環境部会では、事業活動における環境影響を評価し、環境保全活動の推進や環境の負荷軽減に関する活動計画を立案するとともに、活動状況の監視・測定および評価分析などを行い、KPIに対する達成状況を報告書としてまとめ、必要に応じて公開します。また、労働・人権部会では、労働慣行および人権に関わる教育訓練や人権デューディリジェンスへの助言・提言などを行います。また、多様な社員を受け入れ、個々の能力を存分に発揮できる職場環境の実現に向けて、社内セミナーの開催をはじめとした各種施策を実施していきます。環境部会と同じく労働・人権に関するKPIに対する達成状況を報告書としてまとめ、必要に応じて公開します。

このように、経営層をサステナビリティ推進の運用プロセスに積極的に関与させることで、サステナビリティ推進を通じて「企業ブランドの向上」、「エンゲージメントの向上」、「優秀な人材の採用」など、サステナビリティ推進が企業競争力の強化にいかに重要であるかについて実証するとともに、従業員はじめステークホルダーに発信することが可能となります。

次回は「マテリアリティ分析と方針およびKPIの策定」について解説します。

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